2013/05/21

Lojban Lessons - 18章 (引用符)

Lojban Lessons - 18章 (引用符)

ロジバンの大きな特徴のひとつは、視聴覚的に同型であるように作られていることです。つまり、書いたとおりに発音し、発音したとおりに書けるということです。それゆえ、発音しない(できない)ような句読点が存在しないのです。結局、このことはロジバンは何かを引用するための幅広い語を持ち合わせているということを意味します。ロジバンの引用符にはすべて、引用部分を囲み、sumtiに変える働きがあります。いちばん単純なものから始めましょう。

lu 引用符: 文法的に正しいロジバン文の引用を開始する。
li'u 引用符: 文法的に正しいロジバン文の引用を終わらせる。

この構造体の中にある分はそれ自体で文法的に正しくなければなりません。少しの例外を除けば、 この引用符はどんなロジバンの単語も引用することができます(その例外の中には、当たり前ですが、li'uもあります)。

次の文を訳してみましょう。

mi stidi lo drata be tu'a lu ko jai gau mo li'u
drata    x1はx2ではない何か、x3(基準)において; x1は他のもの

Answer: 「私は”ko jai gau mo”ではない何かを提案します。」

 luとli'uは文法的に正しくない文は引用できません。しかし、文の一部分を抜き出したいときもありますね。たとえば、「"gi'e"はsumtcitaですか?」などのようなものです。そのときはどうすればいいでしょうか?

このために、次の2つのcmavoを覚えておきましょう:

lo'u 引用符:文法的には正しくないがロジバンであるような文の引用を開始する。 
le'u 引用符:文法的には正しくないがロジバンであるような文の引用を終わらせる。

この中身はロジバンの単語でなければなりませんが、文法的に正しくなくてもかまいません。さっきの"gi'e"の文をロジバンに直してみましょう:

Answer: xu lo'u gi'e le'u lojbo sumtcita

これらの語はle'u以外のすべての単語を引用できます。しかし、これでは不十分です。たとえば、「"do mo"は"What's up?"の適切な訳ですか?」を訳したいとき、ここまでに述べたものでは少々間違いが生じるかもしれません。というのも、"do mo"は「あなたは何ですか?」という意味にもなるからです。さて、別の手を打ちましょう。必要な語は、zoiです。

 zoi  万能な引用文を開始し、万能な引用を閉じる

 zoiを使えば、形態論的に正しいロジバン単語ならなんでも引用することができます(境界詞(delimiter)という)。[注: というより、あらゆる言語のどんな言葉も引用できます。英語も日本語もドイツ語もエスペラントも…。]その引用は、zoiで始め、zoiで締めます。これで、境界詞を除くすべての単語を引用することができるようになりました。ふつう、引用句はzoi単体か、もしくはそれの書かれた言語を表す文字を伴って囲まれます。
例: 「私はオペラ座の怪人が好きでした」 = mi pu nelci la'e zoi zoi. オペラ座の怪人 .zoi
[注: mi pu nelci la'e zoi ponbau. オペラ座の怪人 .ponbauでもOKです。ponbauは日本語という意味です。英語を引用する場合は、glibauを使ってもいいです。簡略な方法としてその言語の頭文字を使う(ponbauならpy. glibauならgy.)というのもあります。]
この例文について注意点が二つあります。ひとつは、その引用文の文字列が好きなのではなく、それの指すもの(つまり、オペラ座の怪人の劇とかDVDとか)が好きなのですから、la'eが必要です。二つ目は、引用符と引用句の間には必ず小休止(ピリオド)を置くということです。この小休止は、境界詞を正しく見定めるために必要不可欠です。
[注: 言葉の響きが好きであることを表すときは別にla'eはいりません。Tシャツの柄として、「勇気」という単語が好きというときには、mi nelci zoi zoi. 勇気 .zoi (私は勇気という文字列が好きだ)と言えます。 ]
 さて、さっきの"What's up?"の文を訳してみましょう。

drani x1はx2(性質)に関してx3(状況)のときx4(基準)において正しい/正確/適宜

Answer: xu lu do mo li'u drani xe fanva zoi gy. What's up? .gy ここで、gyはglico(英語)短縮形ですから、境界詞にgyが選ばれています。[注:日本語では py となります。]

かなり似ている語に、la'oがあります。これはzoiと全く同じように働きますが、その引用句を名前に変えます。ふつうselbriとcmevlaだけが名前になり、引用句はなれませんから、この語が必要となります。

la'o 多目的引用を開始させ、終わらせる。しかし、その引用句は名前として使われる。

最後に、公式な引用符としてzoがあります。zoはそれがどんなものであろうと、常にその直後のロジバン単語を引用します。これはかなり使いやすいです。
zo 直後のロジバン単語を、何であれ引用する

例: zo zo zo'o plixau = 「"zo"は有用だ、なんちて」

zo'o : 心態詞: 談話系: ユーモアな感じで、「冗談だよ」
plixau x1 はx2にとって、x3(目的)をするのに有用だ

ロジバン使用者の一部は、次に説明するさらに4つの引用符を補ってやることが有用であると気づいています。それらはすべて試験的で、正規の文法ではサポートされていません。さらに残念なことに、試験的文法の構文解析で大いに問題を孕んでいます。
それにも関わらず、これらは度々使われて、一役買っています。いちばん使われるのは次の語です:

zo'oi 次にくる語だけ引用する。次にくる語は会話では小休止、筆記では空白で明確に区別する。
例: ri pu cusku zo'oi どわ! .u'i = 「彼は「どわ!」って言ったんだよ、はは」

使い方はとても簡単ですが、実際問題として、これらを使うのはかなり問題を含んでいます。zo'oiに続く語にはピリオド、声門閉鎖音、小休止が含まれてはいけないということを心得ておかねばなりません。たとえば、以下の文は試験的な[訳: それゆえ今よりも柔軟性の高い] 文法でさえも構文エラーが生じます。

書き言葉の例: ko iklki sedi'o zo'oi http://www.lojban.org/ -- エラー(zo'oiの適用範囲は"http://www"だけになるため)

話し言葉の例: lo salpo (ku) fa'u lo finti cu smuni zo'oi saka fa'u zo'oi sa.ka lo ponjo -- エラー(2つ目のzo'oiの適用範囲が"sa"だけになるため)
(この"ku"はPEG構文解析ツールでは省略可能です)

zo'oiとla'oに似たものに、la'oiもあります。これは、zo'oiとまったく同じ働きをしますが、その引用句は名前として扱います。
la'oi 直後の語のみを引用し、それを名前として使う。直後の語は会話では小休止、筆記では空白で明確に区別する。

「私の英語の名前は"Safi"です」は何というでしょう?

glico  x1はx2(性質面)に関して英語系(言語/文化/民族/地理)
cmene x1(文字列)はx2の、x3(者)による名称; x3はx2をx1と呼ぶ; x2はx1と呼ばれている

Answer: mi glico se cmene la'oi Safi 
seが必要なことに注意してください。我々は自分たちが名前であると言いたいわけではないですから。

[注:
日本編もやっておきましょう。
ponjo x1はx2(性質面)に関して日本/ジャポニカ系(言語/文化/民族)
これを用いて、「私の日本語の名前は"太郎"です」を訳してみましょう。

Answer: mi ponjo se cmene la'oi 太郎
]

la'oiもzo'oiと同じ問題を抱えています。すなわち、la'oiに続く語にはピリオドも声門閉鎖音も、小休止も含んではいけません。たとえば、次の文はla'oiが公式の語となっている試験的文法でさえ構文エラーになります。

書き言葉の例 : .u'a mi te vecnu lo zgike datni pe la'oi t.A.T.u -- エラー(la'oiは"t"しか引用していないことになっている)
(t.A.T.uは音楽グループ)

話し言葉の例 : la'oi .uli.uli zgike tutci -- エラー(la'oiは最初の"uli"しか引用しないため)
("`uli`uliはハワイの楽器)

話し言葉の例 : ju'i la'oi jugemujugemugokounosurikirekaijarisuigionosuigioumatsu,unraimatsufuuraimatsuku,unerutokoronisumutokoro,iaburakoujinoburakoujipaipopaipopaiponosiu,uringansiu,uringan,nogu,urindaigu,urindainoponpokopi,inoponpokona,anotcoukiu,umeinotcousuke mi'o ko'oi klama lo ckule -- 一息で言えないなら、エラー
("じゅげむじゅげむごこうのすりきれかいじゃりすいぎょのすいぎょうまつうんらいまつふうらいまつくうねるところにすむところやぶらこうじのぶらこうじぱいぽぱいぽぱいぽのしゅーりんがんしゅーりんがんのぐーりんだいぐーりんだいのぽんぽこぴーのぽんぽこなーのちょうきゅうめいのちょうすけ"  は有名な日本の男の子の名前)


三つ目、ra'oiは直後のrafsiを引用します。rafsiは語ではないですから、ふつうはzoiで引用してやらないといけません。さらに、いくつかのrafsiはcmavoと同じ形をしています。その混同を避けるために、ra'oiは常にrafsiを指します。rafsiでない文字列に使うのは誤りです。

次の文はどういう意味でしょうか?: ra'oi zu'e rafsi zo zukte .iku'i zo'oi zu'e sumtcita
ku'i 心態詞: 談話系: しかし(前述の言明とは対照的に)
rafsi    x1(文字列)はx2(語)のx3(部位/性質)に由来する、x4(言語)の形態素/語基/語幹/接辞

Answer: 「"zu'e"(rafsi)は"zukte"のrafsiです。しかし、"zu'e"はsumtcitaです。」

そして最後に、ma'oiを説明します。ma'oiはcmavoを引用しますが、それをその語が属するカテゴリ(selma'o)の名前として扱います。たとえば、ba'oはZAhOに属しているので、ma'oi ba'oは「ZAhO」の非公式な言い方です。

では、puとbaは同じselma'oにありますと言ってみましょう。
cmavo x1(文字列)はx2(品詞)・x3(意味/機能)・x4(言語)の機能語
[注: (ヒント: puという文字列はbaの属する品詞の機能語だ)]

解答例: zo pu cmavo ma'oi ba


[注:結構散り散りに紹介されているので、整理のためここで引用語を列挙しておきます:

lu 引用符: 文法的に正しいロジバン文の引用を開始する。
li'u 引用符: 文法的に正しいロジバン文の引用を終わらせる。

lo'u 引用符:文法的には正しくないがロジバンであるような文の引用を開始する。 
le'u 引用符:文法的には正しくないがロジバンであるような文の引用を終わらせる。

zoi  多目的な引用文を開始し、多目的な引用を閉じる

la'o 多目的引用を開始させ、終わらせる。しかし、その引用句は名前として使われる。

zo 直後のロジバン単語を、何であれ引用する

*以下、非公式*

zo'oi 次にくる語だけ引用する。次にくる語は会話では小休止、筆記では空白で明確に区別する。

la'oi 直後の語のみを引用し、それを名前として使う。直後の語は会話では小休止、筆記では空白で明確に区別する。

ra'oi 直後のrafsiを引用する。

ma'oi 直後のcmavoを引用し、そのcmavoが属するselma'oの名前として働く。

]

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